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中国の鉱工業生産の推移、68品目の10年間

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中国の鉱工業生産の推移、68品目の10年間(2015年10月)


 中国経済の減速は、誰もが認めるところとなりました。しかし、その実態に関する認識は、人によりかなり異なるようです。中国政府が発表する経済指標に対する疑念が、混乱を招いているのかもしれません。

 このページは中国の鉱工業生産のデータを紹介するものです。中国国家統計局は、英語名「Output and Growth Rate of Major Industrial Products」で、毎月、68品目の生産量を発表しています。その10年間の推移を示しました。
 中国の経済データの信頼性が低いとしても、多数の項目の長期のトレンドを注意深く眺めれば、自ずと中国経済の実態が見えてくるように思います。


 国家統計局による鉱工業生産量は、当月値、1月からの累計値、それらの対前年同月比の増加率の4種の値が発表されます。統計の解説によれば、所定規模以上の工業企業から報告されたデータの集計値であると説明されています。それらの工業企業は、前年同月のデータも併せて報告している模様で、両者の比率から、対前年同月比の増加率を求めているようです。

 所定規模以上の工業企業は、毎年見直されます。そのため、国家統計局が発表した対前年同月比の増加率は、当年と前年の生産量の比率から求めた値とは異なっています。以下に示すデータは、国家統計局が発表した対前年同月比の増加率です。年間の増加率は、12月の累計値に関する対前年比の増加率です。なお、2015年の値は、8月までの累計値に対する増加率を示しました。

全体像
 
図-1には、中国のGDPと鉱工業生産量の対前年同期比の増加率を示しました。2008年から2009年の急激な落ち込みは、リーマン・ショックによるものです。その後、4兆人民元と言われる大規模な景気対策により、中国経済はV字回復を遂げます。2010年半ば頃には、景気の過熱も収まっています。以後、中国経済の成長率は、徐々に低下を続けました。

 図-1に示されるように、GDP成長率の低下は緩やかですが、鉱工業生産の増加率の低下は顕著です。このデータからは、第二次産業の減速を第三次産業が補っているということになると思いますが、そのまま信じ難いのが中国経済の困ったところです。筆者のウェブページ「中国のGDP値に対する疑念と代替指標を用いたGDP値推測の試み」を参照下さい。

 鉱工業生産量の対前年比増加率は、リーマン・ショック以前には17%前後でしたが、2011年には14%、2013年には10%弱へと低下し、2015年には6%前後となりました。




68品目
 
国家統計局が発表している68品目の生産量の推移を見ることにしましょう。図-2には、68品目について2007年、2011年、および、2015年の8月までの累計値の前年比の増加率を示しました。2007年はリーマン・ショック前の増加率、2011年はリーマン・ショック後の景気過熱が収まった段階の値、2015年は直近の値です。年毎の生産量に変動があるため、個々の品目については図-1と異なり、2007年よりも2011年の増加率が高いものもかなり見られます。

 2015年について注目されるのは、増加率がマイナスのものがかなりあることです。前年より生産量が減少しているものです。68品目中で29品目の生産量が減少しており、43%を占めています。



前年より減少
 
表-1には、2015年に生産量が前年より減少した品目を示しました。生産量の増加率が低下することと、前年より減少することでは大きな違いです。
 
 
資本主義社会なら、企業の生産量が減少すれば、企業業績が低下し、人員削減や設備削減を行わなければなりません。
 中国の国有企業の場合には、人員削減は行われないのかもしれませんが、そのような状態が放置されてよいはずはありません。

 2015年の生産量が前年度に比べて減少している品目は、住宅などの不動産開発に関連した品目や、設備投資に係わるものが多くを占めています。生産量であり、消費量でないことに注意を要しますが、景気の後退により、耐久消費財の生産量も低下しています。

構造転換
 中国経済には、高度成長から安定成長への構造転換が求められています。投資と外需主導から、消費と内需主導の経済への転換です。加えて、リーマン・ショックの後に発生した景気過熱(バブル)の後遺症の処理も併せて行わなくてはなりません。バブルの後遺症とは、主に、地方政府の不動産開発により生じた過大な債務と、国有企業の過剰設備の問題です。筆者のウェブページ「中国経済、構造転換とバブルの後遺症処理」で紹介しました。
 上記の生産量の減少は、それを反映したものであると思います。但し、構造転換もバブルの後遺症処理も、これからが本番でしょう。


68品目の10年間
 68品目全てについて、過去10年余の生産量の対前年同月比の増加率の推移を示しました。下記はグラフへのリンクです。

グラフへのリンク
1.原油   2.鉄鉱石   3.リン鉱石   4.食塩   5.精製砂糖   6.清涼飲料   7.糸   8.衣類
9.絹・織物 10.紙・板紙   11.新聞印刷用紙   12.ガソリン   13.灯油   14.軽油   15.コークス
16.硫酸 17.苛性ソーダ   18.ソーダ灰   19.化学肥料   20.化学農薬   21.エチレン
22.プラスチック材料  23.合成洗剤   24.化学繊維   25.プラスチック製品   26.セメント   27.板ガラス
28.銑鉄   29.粗鋼  30.圧延鋼材   31.10種の非鉄金属   32.アルミナ   33.圧延銅
34.アルミ製品   35.工業ボイラ  36.エンジン   37.工作機械   38.可搬電動工具
39.金属溶融装置   40.セメント設備   41.飼料製造装置  42.包装機器   43.大型トラクター
44.中型トラクター   45.小型トラクター   46.公害防止機器  47.鉄道車両   48.自動車
49.鋼製民間船舶   50.発電機器  51.ACモータ   52.家庭用洗濯機  53.家庭用冷蔵庫
54.家庭用冷凍機   55.空調機器   56.自動電話交換機   57.ファクシミリ機  58.携帯電話基地装置
59.携帯電話   60.電子計算機   61.マイコン機器   62.集積回路  63.カラーテレビ
64.電気計測器   65.複写機・印刷機   66.発電電力量   67.火力発電電力量  68.水力発電電力量

1.原油

2.鉄鉱石

3.リン鉱石

4.食塩

5.精製砂糖

6.清涼飲料

7.糸

8.衣類

9.絹・織物

10.紙・板紙

11.新聞印刷用紙

12.ガソリン

13.灯油

14.軽油

15.コークス

16.硫酸

17.苛性ソーダ

18.ソーダ灰

19.化学肥料

20.化学農薬

21.エチレン

22.プラスチック材料

23.合成洗剤

24.化学繊維

25.プラスチック製品

26.セメント

27.板ガラス

28.銑鉄、29.粗鋼、30.圧延鋼材

31.10種の非鉄金属

32.アルミナ

33.銅材料

34.アルミ材料

35.工業ボイラ

36.エンジン

37.工作機械

38.可搬電動工具

39.金属溶融装置

40.セメント設備

41.飼料製造装置

42.包装機器

43.大型トラクター

44.中型トラクター

45.小型トラクター

46.公害防止機器

47.鉄道車両

48.自動車

49鋼製民間船舶

50.発電機器

51.ACモータ

52.家庭用洗濯機

53.家庭用冷蔵庫

54.家庭用冷凍機

55.空調機器

56.自動電話交換機

57.ファクシミリ機

58.携帯電話基地装置

59.携帯電話

60.電子計算機

61.マイコン機器

62.集積回路

63.カラーテレビ

64.電気計測器

65.複写機・印刷機

66.発電電力量、67.火力発電電力量

68.水力発電電力量



 
注意)投資や業務等の目的から、本ウェブページで紹介した事項に関心を持つ方は、中国国家統計局などのウェブサイトにアクセスし、ご自身で統計データを確認し、判断して下さい。上述の文章・情報により被ったいかなる被害に対しても、当方は一切責任を負いません。