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データで示す中国経済の構造転換と減速の実態
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        データで示す中国経済の構造転換と減速の実態
(2015年11月)


 最初に結論を列記します。統計データからは中国経済は次のように推測されます。


①中国の高度経済成長は終焉し、安定成長への構造転換が必要となっています。安定成長への構造改革とは、投資と外需主導の経済から、消費と内需主導の経済への転換です。
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②加えて、リーマン・ショック後の景気対策で発生した景気過熱(バブル)の後遺症の処理が必要になっています。バブルの後遺症とは、主に、地方政府が不動産開発で残した過大な債務と、国有企業の過剰設備の問題です。
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③中国の鉱工業生産は、2015年に入り顕著に落ち込んでいます。それは、上記の構造転換とバブルの後遺症処理のためであると思います。
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④不動産開発や企業の設備投資に係わる鉱工業生産の減速が著しく、一部の耐久消費財にも影響が及んでいます。
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⑤国家統計局が毎月を発表している主要68品目の鉱工業生産の4割以上の品目で、2015年10月累計生産量が前年を下回っています。
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⑥鉱工業生産の減速は、リーマン・ショック後の景気過熱が収まった2012年頃から進行してきたもので、2015年の一時的な現象ではありません。
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⑦鉱工業生産の減速は、バブルの後遺症がこれ以上拡大することを防ぐために起きているものです。但し、バブルの後遺症処理はこれからが本番で、それには痛みを伴い、かなりの期間を要することになると思われます。
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⑧いわゆる李克強指数といわれる発電電力量や鉄道貨物輸送量が減少しているのは、鉱工業生産が低下しているためです。
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⑨鉱工業生産ほどにGDPが低下していない理由を、中国政府は、消費と内需主導の経済への転換が進んでいるためと説明しています。
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⑩サービス産業の統計データが正しいなら、GDPの低下が抑制的なのは、サービス産業が拡大しているためです。
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⑪一般に、経済成長の過程で三次産業の比率が高まりますから、中国経済でもその傾向は続くと思います。
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⑫今後は鉱工業生産の従来のような伸びは期待できませんから、その前提で中国への輸出企業や進出企業は、事業計画を考える必要があると思います。
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⑬2015年8月、9月の経済指標には、年初よりも改善する兆しが見られますが、構造転換を少し緩めた影響と想像され、問題処理の先送りすぎないように思われます。


 注意)投資や業務等の目的から、本ウェブページで紹介した事項に関心を持つ方は、中国国家統計局のウェブサイトにアクセスし、ご自身で統計データを確認し、判断して下さい。本ページの文章・情報により被ったいかなる被害に対しても、当方は一切責任を負いません。




GDPと鉱工業生産
 図-1には、GDPと鉱工業生産の対前年同月比の増加率の推移を示しました。前者は四半期毎の値、後者は所定規模以上の工業企業の統計値として毎月中国国家統計局から発表されているデータです。
 2008年から2009年の急激な落ち込みは、リーマン・ショックによるものです。その後、4兆人民元(当時の為替レート換算で55兆円以上)と言われる大規模な景気対策により、中国経済はV字回復を遂げ、景気の過熱をもたらしました。景気過熱はバブルと考えられているようです。しかし、2010年半ば頃には、景気の過熱も収まり、以後、中国経済の成長率は低下を続けました。
 図-1に示されるように、GDP成長率の低下は緩やかですが、鉱工業生産の増加率の低下は顕著です。鉱工業生産量の増加率は、リーマン・ショック以前には17%前後でしたが、2011年には14%、2013年には10%弱へと低下し、2015年には6%前後となりました。


李克強指数
 李克強首相は、嘗て、中国経済を評価する際にGDPではなく、電力消費量、鉄道貨物輸送量、銀行融資の実行という3つの統計を重視すると語ったと言われます。ウィキリークスで、そのことが暴露され広く知られるようになり、それらは李克強指数と呼ばれるようになりました。
 図-2には、発電電力量と鉄道貨物輸送量の対前年同月比の増加率の推移を示しました。GDPと比べて、変化量が非常に大きいことが分かります。また、2015年の値はマイナスになっています。このデータをもとに、中国政府が発表する最近のGDP値は疑わしい、実際のGDPはもっと低いのではないかという疑念が、世界中から発せられました。それについては、筆者のウェブページ「中国のGDP値に対する疑念と代替指標を用いたGDP値推測の試み」で紹介しています。
 李克強指数は、鉱工業生産の変化を増幅して示していると言えるでしょう。


固定資産投資額
 図-3には、固定資産投資額の対前年比増加率の推移を示しました。固定資産投資額には、インフラ建設、企業の設備投資、不動産開発投資などが含まれています。2009年の増加率が増大しているのは、リーマン・ショック後の景気対策によるものです。その後、固定資産投資額の対前年比増加率は減少を続けています。
 グラフに表示されていませんが、最新の2015年10月末累計値の対前年同月比の増加率(農村部を除く統計値)は10.2%です。


不動産開発投資額
 固定資産投資額の一部である不動産開発投資について、図-4には2014年の値を示しました。住宅、オフィスビル、商業ビル、その他に分けられていますが、住宅が約7割を占めています。2014年の不動産開発投資は9.5兆元で、中国GDPの15%に相当します。その増減は、景気に大きな影響を及ぼします。
 図-5には、不動産開発投資額の対前年同月比の増加率の推移を示しました。北京オリンピックまでは好景気が続くと言われましたが、その通りでした。そして、オリンピック閉会式の20日後にリーマン・ショックが起こり、増加率は急落しました。しかし、その後の景気対策により、不動産開発投資額の増加率は急上昇し、2011年半ばころまで、増加率の高い状態が続きました。

 この不動産開発投資の加熱状態は、後にバブルと見做されるようになりました。その後は、増加率は急落し、2015年10月末累計値の対前年同月比増加率は2%となりました。なお、2013年初めに増加率が上昇しているのは、胡錦涛政権から習近平政権への以降の時期で、不動産市場の規制を緩和したことによるものです。新政権となって景気が後退していては具合が悪いという配慮があったものと想像されます。

 図-6には、新築住宅の販売価格指数の推移を示しました。国家統計局が毎月、主要70都市の値を発表しており、その一部です。筆者のウェブページ「中国経済の減速、鉱工業生産と不動産価格」には、70都市のデータを掲載しています。
 不動産バブルが発生したことを考慮して、胡錦涛政権の終わりの2011、2012年には不動産市場の規制が強化され、住宅価格は横ばいを続けていました。習近平政権に入り、不動産市場の規制を緩和したことで、住宅価格の上昇が始まり、それが行き過ぎると再び規制が強化されます。
 不動産投資は中国経済の景気に及ぼす影響が大きく、景気を調整する手段として不動産市場の規制が利用されているようです。


輸出入
 中国の輸出入の推移について、図-7には前年比増加率、図-8には直近の前年同月比増加率を示しました。リーマン・ショック後の景気過熱が収まった後は、輸出入の増加率は10%以下で推移しており、2015年に入ると急速に低下し、前年を下回る状況になっています。


 図-9は、中国の輸出総額に占める主要輸出品の輸出額割合を示したもので、2014年実績です。国家統計局が "Statistical Communique of the People's Republic of China
on ……" で毎年公表しているデータです。2014年の輸出総額は14.39兆人民元です。当時の平均為替レート17.2円/人民元で換算すると248兆円になります。衣類・同付属品、電子計算機・構成部品、携帯・自動車電話、繊維・繊維製品などが、輸出額で大きな割合を占めています。
 輸出品目の別途の集計項目として、機械・電子製品、ハイテク製品のデータが公表されており、2014年実績で前者は輸出総額の56%、後者は28%を占めています。
 図-10には、それらの主要輸出品目の前年同月比の増加率の推移を示しました。なお、図-9に示した品目については、2008年以降のデータになっています。
 輸出合計の対前年比増加率は、2004年に35%でしたが、リーマン・ショック前年の2007年には26%に低下しています。リーマン・ショックでマイナスに落ち込んだ後、景気対策により一旦上昇しますが、2012年には8%まで低下しています。
 最新の2015年10月のUSDベースの対前年同月比の増加率は-6.9%です。
 主要輸出品目では、圧延鋼材のように変動が大きいものや、近年の輸出が増加している携帯電話を除くと、2012年以降は10%以下の増加率に落ち込んでいることが分かります。


経済指標の推移
 上述の経済指標の推移を少し整理してみました。中国経済に大きな影響を及ぼしたのは、2008年9月に発生したリーマン・ショックと、その後の景気後退の対策として実施された4兆元規模の財政出動です。リーマン・ショックについては、その1年以上前から、原因であるサブプライムローン問題は米国経済に影を落としていました。
 その他に、景気上昇の要因として、2008年8月に実施された北京オリンピックがあります。また、2010年5月から10月まで開催された上海万博も、中国経済にかなりの影響を及ぼしたものと思います。

 図-11には、上記グラフの対前年比増加率を再掲しました。リーマン・ショック前の2007年、リーマン・ショックによる増加率落ち込みのボトル年、景気対策による景気過熱のトップ年、景気過熱が収まった2011年、および、2014年と直近の値を図示しました。上図で前年同月比増加率を掲載しているものは、前年比増加率に直して示しています。また、直近の値は9月か10月末累計の対前年同月比増加率です。

 図-11には示されていない2007年以前では、GDP成長率は上昇を続けており、不動産開発投資の増加率も上昇傾向を示していました。一方、輸出の前年比増加率は、既に低下傾向を示していました。その他の項目は横ばいです。
 リーマン・ショックに際して、輸出は大きな影響を受けています。一方、固定資産投資の変動が小さいのは、インフラ建設のように中長期的計画で実施されているものが含まれているためかもしれません。
 リーマン・ショック後の景気過熱とそれ以降では、輸出と不動産開発投資が大きく変動しています。それらは、鉱工業生産の変化に影響を及ぼしたものと思われます。GDPの変動が小さいのは、データが正しいなら、二次産業の変動分を、一次産業と三次産業が平準化した結果と考えられます。
 2011年には景気の過熱はほぼ収まっていると考えられ、その後、各経済項目の増加率は一貫して低下しています。2015年に入り増加率の低下は顕著になりましたが、それは一時的な問題ではなく、景気過熱の終了後から続く構造的な問題と考えられます。


安定成長への転換
 経済政策に関する事項を少し紹介します。2014年5月には習近平主席により新常態(ニューノーマル)という言葉が使用され、高度経済成長から安定成長に移行することが示されました。また、最近のGDP成長率の低下について、中国政府は
、投資と外需主導の経済から、消費と内需主導の経済への転換が進められているためであると説明しています。
 中国経済の高度成長の主な要因として、次の事項が指摘されています。
 -安価で豊富な労働力が農村から供給された
アジアの他の発展途上国と比べ、
 -質が高い労働力
 -企業活動を支えるインフラの整備
それに加え、
 -中国は13.6億の人口を抱える巨大な市場
それらは、海外企業の投資を呼び込み、世界の工場として中国の高度経済成長を支えてきました。
 しかし、1980年頃に始まる中国の経済成長も、2000年代に入ると、BRICsその他の新興国の経済発展が進み、世界的な生産供給力が高まったことで、輸出市場の競争は以前よりも厳しくなりました。図-10のリーマン・ショック以前でも、輸出増加率が低下傾向を示しているのは、それを反映したものでしょう。

 中国の生産年齢人口(15~64歳)の比率は2010年頃にピークに、生産年齢人口の総数は約10億人で2013年頃にピークに達し、以後減少に転じていると考えられています。農村からの豊富な労働力の供給が期待できなくなり、一方、都市労働者の賃金は上昇しました。外国企業にとって、世界の工場としての中国の魅力は失われつつあります。
 中国の巨大な市場は今後も非常に大きな魅力であり、インフラなどの面で他のアジアの発展途上国に比べて優位性は高いけれども、他のアジアの国々への工場移転も進んでいます。

 景気過熱が収まった2011年ころには、中国の高度経済成長は終焉したと考えるべきでしょう。輸出の伸びもさほど期待出来なくなった時、消費を拡大することで生産を維持することが必要になります。更に、先進国のように製品開発力を高め、中国ブランドの製品を生み出していくことも必要になるでしょう。

バブルの後遺症処理
 加えて、リーマン・ショック後の景気対策で生じた景気過熱(バブル)の後遺症の処理も必要です。バブルの後遺症の主なものは、地方政府による不動産開発で生じた過大な債務残高と、国有企業の過剰設備の問題です。

 地方政府の債務残高については、中国審計署による2013年6月末の値で、17兆8900億人民元とされます。GDP比で31%になります。2015年半ばの時点で20兆人民元を超えているという報道もあります。現在の為替レートの約19円/人民元で換算すると、380兆円になります。
 地方政府債務リスクの解消は、2014年の重点施策のひとつに位置づけられ、関連した法規が公布されています。新たに発生する債務は、地方政府本体の起債による借り入れのみとし、起債限度額の規定が設けられました。借入資金の使途に関する規定が設けられ、地方政府が返済責任を負い、中央政府は救済しないという原則が明確にされました。既存の債務は、2014年末の時点の債務残高を確定し、中央に報告することになりました。債務内容により分類して処理することになり、利払い負担軽減のため、地方債発行による借り換えが認められるようになりました。

 中国の大企業の多くは国有企業です。過剰設備の発生は、次のように分析されています。高度経済成長の期間に、鉄鋼やセメントという基幹産業には、設備投資の高い意欲が生じたが、設備投資を判断する国全体の情報が不充分で、個々の企業が不適切な判断で設備投資を行ったため、設備過剰が生じた。中国製造業の企業行動は、技術開発や新製品開発よりも、低価格製品の生産量拡大の指向が強く、生産能力が拡大された。リーマン・ショックに対する景気対策は、特に、鉄鋼、自動車、造船という戦略産業の生産能力を拡大させた。失業や社会不安の回避のため、地方政府は企業の閉鎖、合併には消極的で、企業で余剰人員の解雇が行われず、過剰設備も温存されることになった。
 経済的に重要な産業部門が過剰設備に苦しんおり、特に、粗鋼、セメント、化学肥料、自動車の4部門の設備過剰が顕著であると指摘されています。
 国有企業の過剰設備問題に関して、2006年頃から生産能力過剰業種の構造調整の推進、生産能力淘汰の取り組みなどの政策がとられてきましたが、2015年9月には、国有企業改革プランが出され、2020年までに決定的な成果を挙げるという報道もありました。

 バブルの後遺症処理に関しては、筆者のウェブページ「中国経済、構造転換とバブルの後遺症処理」に紹介しています。

鉱工業生産の減速
 以上の情報は、鉱工業生産の減速を示すもので、主に次の原因によっています。
  -中国製品の輸出競争力の低下
  -海外企業にとって、世界の工場としての中国の魅力の低下
  -国有企業の過剰設備の対策として設備投資の抑制
  -地方政府の過大債務の対策として不動産開発の抑制
 
 具体的に、どの様な品目の生産量が低下しているかを示します。図-12には、国家統計局が毎月発表している68品目の生産量について、2007年、2011年、および、2015年の対前年比の増加率を示しました。なお、2015年のデータは、10月末までの累計量に対する値です。また、生産量は所定規模以上の工業企業の統計データです。2007年はリーマン・ショック前の増加率、2011年はリーマン・ショック後で景気の過熱が収まった段階の値、2015年は直近の値です。

 2015年の増加率は、68品目のうち29品目がマイナスです。4割以上の品目が、前年の生産量を下回っているということです。増加率が低下しただけでなく、生産量が減少に転じたことは重要です。
 筆者のウェブページ「中国の鉱工業生産の推移、68品目の10年間」には、全品目のグラフを掲載しています。


 表-1には、生産量が前年比で減少している品目を示しました。少し乱暴な分類ですが、設備投資や不動産開発などの固定資産投資に係わる品目と、耐久消費財、その他に分けてみました。固定資産投資の関連品目の生産量減少が顕著なのは、上述した構造転換やバブルの後遺症処理のためであると思います。
 但し、現在行われているのは、地方政府の債務や国有企業の過剰設備が、これ以上増大しないようにする対策です。債務や過剰設備を削減するのはこれからが本番で、中国社会にとって痛みを伴い、かなりの期間を要することになると思われます。

GDPはどうなるか?
 中国経済の減速で最も関心が持たれるGDPについて記載します。予備知識から始めます。図-13には、名目GDP(current prices)の推移を一次、二次、三次産業の内訳で示しました。図-14は2014年の名目GDPの総額と構成比率です。


 GDPおよび各産業内訳は、いずれも増加を続けています。2014年の値で一次産業の比率は10%弱で、残りが二次産業と三次産業です。グラフからは読み取り難いのですが、2013年に三次産業の比率が二次産業を上回りました。サービス産業など三次産業比率は、今後も増加を続けるでしょう。
 中国人民元と日本円の為替レートの変化はかなり大きいのですが、2014年には18円/元前後であり、それで換算すると、中国GDPは日本円にして概略1,100兆円です。
 右図に参考として、2013年の日本の名目GDPを示しました。GDP総額は中国の半分以下です。購買力平価で評価すれば、もっと大きな違いがあると思います。日本のGDPの一次産業比率は1.2%に過ぎず、二次産業の比率が約25%で、残りが三次産業です。
 人口1人当たりのGDP値が高い先進国では、概ね日本と同程度のGDPの産業構成比です。今後も中国が経済成長を続けるなら、二次産業、三次産業ともに拡大を続けながら、三次産業の構成比率はまだまだ増大すると思います。

 本題に入りますが、図-15に中国GDPの対前年比成長率を産業別に示しました。リーマン・ショック後の景気過熱時期には、二次産業の成長率が高く、GDP成長率を引き上げていました。その後、二次産業の成長率は低下し、近年のデータでは、三次産業の成長率が少し上回っています。2014年のGDPで言えば、増大している三次産業の成長率が、GDP成長率の低下をある程度抑制していると解釈できます。


 中国政府は2016-20年のまで第13次5ヵ年計画について、年6.5%以上のGDP成長目標を掲げています。習近平主席の発言ですから、恐らく実現されるのでしょう。今後、鉱工業生産の成長があまり期待できない状況の下で、三次産業(サービス産業)の拡大により、GDP成長率の目標を達成するものと思われます。中国のサービス産業は先進国に比べて遅れており、国費を投じれば拡大する余地は充分あるように思われます。
 但し、GDP成長率が7%台から6%台に僅かに低下する外見とは異なり、中国経済の中身は、鉱工業生産が大幅に減速しています。中国への輸出企業や進出企業は、そのことを認識して事業計画を考える必要があるように思います。

おわりに
 最後は、素人のコメントとしてお読み下さい。高度経済成長が終わったら、自動的に安定成長が訪れるわけではありません。例えば先進国は、並々ならぬ努力で経済の安定成長や低成長を維持しようとしているのです。国有企業の過剰設備を削減しつつ安定成長に移行するのは、容易なことではありません。まして、地方政府の過剰債務の解消などは、どの様にするのか想像できません。
 一帯一路の構想やアジアインフラ銀行、採算を度外視したインドネシアの高速鉄道の受注や、英国との原発建設に関する合意などは、過剰設備を活用して鉱工業生産の成長を維持したいという中国の苦しい現状を反映したものと思われてなりません。
 諸外国にとって中国は、これ以上経済成長がなくても充分に巨大な市場です。一方、中国自身にとって、一人当たりのGDPは日本の5分の一にすぎない上に貧富の格差が大きく、その他にも多くの問題を抱えています。中国社会を維持していくためには、経済成長が不可欠でしょう。


 注意)投資や業務等の目的から、本ウェブページで紹介した事項に関心を持つ方は、中国国家統計局などのウェブサイトにアクセスし、ご自身で統計データを確認し、判断して下さい。上述の文章・情報により被ったいかなる被害に対しても、当方は一切責任を負いません。