データをもとに考える電源構成の再構築

ドイツの事例をもとに考える日本の太陽光発電

トップシナリオ2050ドイツの事例をもとに日本の太陽光発電 


      ドイツの事例をもとに考える日本の太陽光発電 (2013年8月28日)


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               電源問題の本質

 原発をやめ、電力の安定供給と経済性を確保するだけなら、難しいことではありません。石炭火力に転換すれば済むことです。しかし、それではCO2排出量が大幅に増加します。温暖化防止のため再生可能エネルギーが必要となり、問題を難しくしています。


 日本では、太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーといわれます。しかし、太陽光発電は発電コストが、風力発電よりもおよそ3倍高い電力です。EUが推進している再生可能エネルギーとは、豊富な風力資源がある風力発電のことです。世界では、風力発電の導入量は、太陽光発電より遥かに多くなっています。


 日本で太陽光発電に関心が高いのは、風力発電に適した陸上の立地が乏しいためです。日本周辺の洋上なら、風況の良い場所が豊富にあります。残念ながら、日本近海に遠浅の海岸は少なく、着床式の風力発電が設置できる場所は限られています。水深が深い場所のための浮体式の風力発電は、開発途上で経済性は未知数です。発電コストが低い風力発電の利点は損なわれてしまうでしょう。

 太陽光発電の買取制度には、過度の費用が掛かります。その見直しが行われる予定ですが、高い価格で電力を買い取れば、太陽光発電の事業者は確実な投資収益が得られますが、その収益を負担するのは、投資余力が無い多くの国民です。国の制度としておかしい事は、少し考えれば分かることです。


 お天気次第の再生可能エネルギーのために、講じることができる変動対策も、欧州に比べて日本には限られています。
 そ
れらのため、ドイツと同じように再生可能エネルギーの導入を拡するのには、日本では多額の費用が掛かることになります。


 日本では、再生可能エネルギーの大幅導入は難しい問題であり、拙速に進めるべきではありません。国民負担を如何に少なく抑えるかを重視して検討すべきです。
 その間、日本は保有する高効率・省エネ技術を世界に広めることで、世界の温室効果ガスの排出削減に貢献すべきです。

 

ドイツの再生可能エネルギー
  図-1には、1990年からのドイツの再生可能エネルギーによる発電電力量の推移を示しました。1990年頃は、水力発電が殆どを占めていました。1990年代の後半から、風力発電が加わってきます。次に2000年前後からは、バイオマスによる発電が加わりました。太陽光発電が無視できないレベルになるのは2005年頃からです。
  
廃棄物焼却中のバイオ発電と示したのは、廃棄物の半分を有機性廃棄物と見做して、廃棄物焼却による発電量の半分をバイオ発電として算定したものです。

  
  当たり前のことですが、発電コストの低いものから順に導入されてきたことが分かります。ドイツと日本では、発電コストに少し違いがあるようですが、2011年12月に出されたコスト等検証委員会報告書で日本の現状の発電コストは、陸上風力発電が9.9~17.3円/kWh、住宅の屋根設置の太陽光発電が33.4~38.3円/kWhです。
  日本では、太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーと一括りで言われることが多いのですが、太陽光発電は風力発電の3倍くらい高い電力です

  図-2には、ドイツの総発電電力量に占める再生可能エネルギー発電の比率の推移を示しました。2012年のドイツの総電力量は、約6,000億kWhで、再生可能エネルギーによる発電は、約23%を占めています。

  図-3に示すように、太陽光発電は、再生可能エネルギーの21%を占め、総発電電力量に対しては、約5%に達しています。
  因みに、日本の年間の発電電力量は約1兆kWhですから、ドイツの太陽光発電量は、その3%弱を占めることになります。
  なお、日本が無駄に多くの電力を消費している訳ではなく、日本の人口が、ドイツの約1.5倍であるためです。一人当たりの電力消費量やCO2排出量は、日本とドイツは同程度です。


ドイツの太陽光発電
  風力発電やバイオマスについては、ドイツと日本では国情の違いがあり、それが導入量の違いにつながっていますが、このページでは太陽光発電を取り上げることにします。
  図-4には、各年に設置された太陽光発電容量を、kW区分ごとに示しました。また、図-5は、出典が違うためにkW区分が異なるのですが、設置場所とkWサイズのイメージを示しました。
  0-10kW設備は、ドイツでは住宅の屋根設置の太陽光発電設備です。10-50kWは、共同住宅や商業施設などの屋根設置になります。50-250kWは、主に工場などの屋根に設置された設備になります。250kW以上は地上設置の設備です。
  
図-5でBIPVとあるのは、Building-integrated photovoltaicsの略で、建材一体型の太陽光発電で、建物の屋根、天窓、壁面など使われるものです。




  図-4で、住宅の屋根設置の太陽光発電は、全体の10数%で顕著な増加傾向は見られません。共同住宅の屋根など対象とした10-50kWの設備は、2010年まで増加した後、減少傾向を示しています。工場の屋根などを対象とする50-250kWの設備も、同様の増加、減少傾向を示しています。設置量が増加しているのは、250kW以上の地上設置設備、特に1,000kW以上のメガソーラーです。

  個人住宅用設備は、太陽光発電に積極的な人の住宅での設置が一巡すれば、それ以上はあまり伸びないということでしょう。日本で想定されるような、殆ど全ての住宅に設置されることは、ドイツでは難しいのだと思います。
  太陽光発電を設置して投資収益が期待できるなら、集合住宅には、かなり設置されると想像されます。但し、総量はそれ程多くないと思われます。
  広い屋根をもつ工場は、いかにも太陽光発電の設置に適しているように思われます。しかし、太陽光発電設備は、少なくとも20年間使う設備です。一方、工場で20年間、同じ製品が生産されることは考え難いことです。また、工場の海外移転の可能性もあります。まともな経営者なら、自社の工場の屋根に20年間使用する太陽光発電を設置することは考えないでしょう。

  太陽光発電を大幅に導入しようとすると、結局、地上設置の大規模設備になります。低金利時代にあって、固定価格買取制度により、安全で確実な投資収益が期待できるなら、太陽光発電の投資は、どんどん伸びることになります。

  しかし、誰が、その投資収益を負担するのかを考えて下さい。資金余力がある人は、自宅に太陽光発電を設置することで、高い電気代を支払わないで済むでしょう。その結果、資金余力の乏しい個人や工場経営者などに負担は掛かってきます。電気のように必要不可欠なものを入手する負担が、余力の少ない弱者に大きくなるのは適正な制度ではないと思います。


ドイツの長期シナリオ
  2009年のG8サミットで、2050年までに先進国全体で温室効果ガスを80%削減する長期目標が出されました。随分先のことですから、各国がどの程度真剣に考えているかは定かではありません。
  ドイツでは、2050年までに、1990年の温室効果ガス排出量を80%から95%を削減する長期シナリオが2012年3月に発表されています。技術的、構造的な可能性に基づいて作成された目標指向型のシナリオであると紹介されています。但し、本当に実行可能なのか、若しくは、実行されるのかは分かりません。
  提示されている長期シナリオには上限から下限の複数ケースがありますが、図-6には、中間値であるシナリオ2011Aの、2050年までの電力量を示しました。温室効果ガス排出量を80%削減する目標で、一次エネルギー消費は2010年の値の約半分に低減するものです。そのためには、想定したGDP成長率のもとで、40年の全期間に亘り、一次エネルギー生産性を年平均2.5%向上するという大幅な効率改善が必要とされます。

  原発は2022年までに廃止されます。現在、電源の中心である石炭と褐炭を燃料とする石炭火力は順次減少し、2050年には無くなります。石油や天然ガスを燃料とする石油・ガス火力は、減少しますが、風力や太陽光発電による供給電力の変動に対する吸収手段として残されます。
  コジェネは電力と熱の併給設備で、燃料としては、石炭、ガス、石油、バイオマスおよび廃棄物が含まれています。コジェネは、エネルギー効率を高める手段であると共に、再生可能エネルギー電力の変動を、蓄熱により吸収するエネルギー貯留の機能も期待されているようです。
  再生可能エネルギー電力の変動対策としては、水素などの化学形態での蓄エネルギーが想定されています。



  図-7には、再生可能エネルギーによる発電を取り出して推移を示しました。いずれの再生可能エネルギーも、増加傾向を示していますが、風力発電の増加が顕著です。2050年時点で、風力発電は、再生可能エネルギー全体の半分以上を占めています。EUの送電網を利用した再生可能エネルギー電力の輸入も10%以上含まれています。2050年の時点で太陽光発電は、再生可能エネルギー全体の13%です。



  主題である太陽光発電を取り出して、図-8に設備容量の推移を示しました。2012年までは実績値、それ以降はシナリオ2011Aの値です。2050年の値は6,720万kWです。温室効果ガス排出量を80%削減する約40年後でも、太陽光発電は2012年実績の2倍程度しか想定されていません。



  図-9には太陽光発電実績の、各kW区分の比率を示しました。繰り返しになりますが、250kW以上の地上設置の大型設備の比率が増大しています。買取制度による安全確実な投資として、伸び続けていることを示しています。

  しかし、大きな費用負担を伴う太陽光発電が、あまり増大することは望ましいことではありません。そのため、2012年4月のドイツの買取価格の改正で、太陽光発電は累積設備容量が5,200万kWになった時点で、固定価格による買取を終了することが決まりました。


日本の実績
  日本の固定価格買取制度については、下記ページなどに記載したので、ここでは初年度の導入量などについて紹介します。
      レポート「再生可能エネルギーの買取制度と国民負担(1880KB)
      ウェブページ「再生可能エネルギーの買取制度と国民負担

  図-10に、再生可能エネルギーの2011年度末の累積導入量、初年度の見込み量、2013年3月末までに買取制度の認定を受けた設備容量を示しました。2013年3月末で、運転開始した設備容量は、認定を受けた設備容量の8%に過ぎず、実態を表すために認定容量を示しました。

  
初年度の見込み量は、買取価格を検討した調達価格等算定委員会で、サーチャージ額(買取制度の費用負担額)の試算に用いられた標準ケースの値です。標準ケースを設定し、その前後に幅を持たせて検討したと断り書きが記されています。初年度に運転開始する設備容量の意味だったのかもしれません。しかし、認定容量との間に、このように大きな違いがあるならば、買取制度の費用負担の程度を示す情報としては適切ではなかったということでしょう。


  買取制度初年度の認定容量は、10kW以上の太陽光発電が、1,868万kWと圧倒的に多いことが分かります。なお、10kW以上の太陽光発電の初年度見込み量の標準ケースは50万kWでしたから、想定外の結果と言えるでしょう。
  太陽光発電の認定容量の内訳は、10kW未満の住宅用が134万kW、10~1,000kW設備が619万kW、1,000kW以上の設備が1,249万kWです。また、10~1,000kW設備の平均設備サイズは48kW、1,000kW以上設備は4,609kWです。


日本の太陽光発電の認定容量
  図-11には、太陽光発電を取り出して、毎月の月末時点での累積認定容量を示しました。3月末に掛けて、買取価格が引き下げられる前に認定を得ようとする、駆け込み認定の著しい増大が見られます。
  認定だけ取って、設備価格が低下してから、設備建設をしようとするものもあると報じられ、今後に問題を残しそうです。
  ドイツの事例からも想像できるたことですが、太陽光発電が安全で確実な投資と見做されれば、大規模設備の過大な導入につながるということです。

  2年度目の2013年度の買取価格は、調達価格等算定委員会の会議資料を見ると、認定量がまだ少なかった2012年11月末時点のデータをもとに検討されています。適切な買取価格が設定できたのか危惧されます。2013年度の4月末、5月末の認定容量からは、幸いにしてバブルの様相は見られませんが、次の年度末にかけての推移を注視する必要があるでしょう。


太陽光発電の買取価格
  図-12には、ドイツと日本の太陽光発電の買取価格を示しました。対比のため、日本の買取価格は、2012年度分は100円/ユーロ、2013年度分は130円/ユーロの為替レートで換算し、ユーロ・セント/kWhの単位で近似的に示しました。また、日本の買取価格は税込みで言われていますが、税抜きで対比すべきと考えました。



  ドイツの買取価格は比較的最近のものです。kW区分によりかなり差がありますが、いずれも、買取価格が急速に引き下げられていることが分かります。しかし、設備価格の低下はもっと速く、確実な収益が期待できる投資と見做され、太陽光バブルの様相を呈してきたと言われました。2012年4月の価格改正では、前述のように、累積設備容量が5,200万kWになった時点で、買取を終了することになりました。

  日本では、同時期に初年度買取価格が決められたのですが、当時の為替レートで換算すると、ドイツの買取価格の2倍以上です。10kW以上の設備の買取価格が42円/kWhで、買取期間は20年間です。概ね、発電事業者の要望に沿った価格と感じられました。
  一方、10kW未満の住宅用は、買取価格が同じ42円/kWhで、余剰電力だけを10年間買い取るものです。大規模設備の方が、発電コストは低いはずですが、地上設置太陽光発電の土地の賃借料が高く評価され、優遇されたのかもしれません。
  2013年度の買取価格は少し引き下げられて、10kW未満の住宅用は38円/kWh、10kW以上は37.8円/kWhとなりました。

  図-8に示したように、ドイツの太陽光発電の導入量の増加が顕著になるのは2010年頃からです。その頃には、図-12に示すように、買取費用の負担が過大になることを抑制するため、買取価格は急速に引き下げられています。
  一方、日本は高い買取価格を設定した初年に、想定外の2,000万kWの太陽光発電が認定され、今後20年間に亘り、高い買取費用を負担しなければなりません。

  率直に言って、太陽光発電の導入拡大を優先し、言い換えれば、発電事業者と設備メーカの収益を優先し、電気を使用する国民負担を少なく抑える視点が希薄であったということです。先行して買取制度を実施したドイツの経験が活かされていません。


日本の初年度分の費用負担
  日本の買取制度初年度の太陽光発電が、今後、どれだけの費用負担に繋がるか紹介しておきます。なお、10kW未満の住宅用は、認定容量はそれほど大きくなく、自宅で消費した残りの余剰電力のみを買い取るもので、買取期間も10年と半分であるため、費用負担は10kW以上のように大きくありません。
  ここでは、投資対象と見做されたことで、認定容量が見込みを大幅に上回った10kW以上の設備について、結局、国民が負担することになる費用を示します。

  1,868万kWの認定設備容量をもとに考えます。太陽光発電の日本での平均の利用率は、一般に12%と言われていますから、年間の発電電力量は196億kWhになります。日本の年間総発電電力量は約1兆kWhですから、その2%に匹敵します。また、100万kW級原発なら、3基分くらいの発電電力量です。
  年間196億kWhの電力を42円/kWhで買い取る費用は8,232億円です。1年限りの費用なら我慢できる金額かもしれません。しかし、20年間続くもので、16兆5,000億円となります。20年月賦でえらく高い買い物をしてしまったという感は否めません。

  日本全体の平均発電コストは、福島第一原発の事故以降、混沌としてよく分かりません。事故以前には、10円/kWh前後で考えられていたように思います。それと比べて、4倍高い買い物です。
  導入される太陽光発電の設備寿命が来る2030年頃までに、天然ガス価格が数倍になったり、非常に高い炭素税が導入されるようになれば、高い買い物ではなかったと思うかもしれません。

  買取制度が続く限り、毎年の新たな買取分が加わり、費用負担は20年間続きます。実に膨大な費用負担です。僅か5人の有識者による調達価格等算定委員会の意見より、買取価格が決められ、買取電力量とその費用負担が大きく左右されます。反対のパブリックコメントもかなりありましたが、意見は反映されなかったようです。適正な制度ではないように感じます。


太陽光発電の設備価格
  太陽光発電の設備費は、一般に、太陽電池モジュールと、それ以外の二つに分けて議論されます。非常に大雑把に言うと、両者の価格は同じくらいです。
  太陽電池モジュールは国際的な商品ですから、本来、ドイツも日本も同じような価格水準になるはずです。それ以外の部分には、モジュル以外の部材と据付工事などの労務費が含まれますが、ドイツと日本なら、同程度の価格になってもおかくしないように思います。

  日本の太陽光発電の設備費は、太陽光発電の導入が進んでいる諸外国に比べ、かなり高いことを下記のウェブ・ページで紹介しました。しかし、日本の高い太陽光発電の設備費をそのままに、高い買取価格が設定されたように思います。
     ウェブページ「太陽光発電の海外価格
     ウェブページ「ドイツの太陽光発電の設備価格は20万円/kW前後

  折角、ドイツで太陽光発電の低価格化が進んでいるのに、参考にすることなく、設備メーカの収益を優先することは、行政の仕事として適切ではないと考えます。


ドイツと日本の主要目
  太陽光発電の紹介はこのくらいにして、両国の比較をする際の基礎となるデータを表-1に示しておきます。日本の人口はドイツの約1.5倍です。国土面積はほぼ同じですが、日本は中央が山岳地帯であるため、人が住める平地は、ドイツの約半分です。  
  一人あたりのGDPは、ほぼ同じです。一人当たりの一次供給エネルギーもほぼ同じですが、一人当たりの電力消費量は、日本のほうがが15%ほど多くなっています。
  但し、一人当たりの温室効果ガス排出量やCO2排出量は、日本のほうが少なくなっています。2010年の時点で、温暖化防止に関して、日本が劣っている訳ではありません。

  日本のエネルギー生産量はドイツより少ないのですが、それでもかなり大きな値になっており、奇異に感じるかもしれません。水力や廃棄物発電の他に、原子力も国産エネルギーとしてカウントされているためです。

  表には示されていませんが、ドイツに比べて、日本は風力発電に適した立地が乏しいことが指摘されています。また、ドイツは、北欧の国々と同様に、温暖化問題に関心が高まる以前の1970年代から、バイオマスがそれなりに利用されていました。そのことは、IEA統計ページのグラフドイツの一次エネルギー供給(グラフを見た後は、グラフ上部の戻りの矢印をクリックして、このページに戻って下さい) から分かります。この点も、日本との違いです。
  また、ドイツは欧州の電力網に接続されており、現状でも年間発電電力量の10%近い輸出入があります。一方、日本は海外との電力のやり取りはなく、変動が大きい風力や太陽光発電の導入を拡大する上で障害になります。


おわりに
  再生可能エネルギーや太陽光発電を否定するわけではありません。しかし、それらの発電コストが高いことは明らかです。また、電気は全ての人に不可欠なものであり、利用者の負担増加を抑制することを優先すべきと考えます。例えば、国際競争力のある産業を育成するという目的は、二の次にすべきです。恐らく、太陽光発電をそのような産業にすることは無理だと思います。

1. ドイツは、再生可能エネルギーの大幅拡大を目指していますが、経済性も考慮されています。
 ① 経済性が高い再生可能エネルギーから、順次導入されています(図-1)。
 ② 発電コストの低い風力発電がメインで、コストが高い太陽光発電の導入は限定的です。
 ③ 2050年時点の計画で風力は総発電量の53%、太陽光は13%で現状の2倍程度に過ぎません。
 ④ 太陽光発電の累積設備容量が5,200万kWになった時点で、買取を終了する計画です。
 ⑤ 脱原発も、概して運転年数が長いものから順次停止し、2022年に廃止する計画のようです。



2. ドイツの太陽光発電の設備価格は、日本の半分近くです。国内メーカの収益を優先しなければ、日本でも価格を低減できるはずです。

3. 日本では、太陽光発電の高い設備価格をそのままに、高い買取価格が設定されました。国民負担を軽減することよりも、発電事業者や発電設備メーカの収益が優先されたわけです。

4. 高い買取価格を設定すれば、低金利時代にあって、安全で確実な投資と見做され、地上設置の大型太陽光発電が異常に増加することは、ドイツと日本の初年度の事例が示しています。

5. その投資収益を負担するのは、主に投資余力が乏しい電気利用者です。電気のように必要不可欠なものに対する制度としては適当ではないと思います。

6. 広い面積を占有する地上設置の太陽光発電が、無計画に日本中に設置されると、20年間使用する設備ですから、種々の問題が発生することは想像に難くありません。

7. 日本は、風力発電に適した立地が乏しいため、再生可能エネルギーの拡大は難しい問題です。時間を掛けて充分に議論する必要があり、拙速に進めるべきではありません。

8. その間、日本は、石油危機以来30年にわたり日本が培ってきた高効率・省エネルギー技術を世界に広めることで、世界の温暖化防止に貢献すればよいと思います。